益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

2005-01-01から1ヶ月間の記事一覧

凍蝶

きょうの自選句。凍蝶のふと歩きてはまた凍つる 益弘

恋ひ死ぬ

きょうの自選句。雪やめば恋ひ死ぬらんか雪をんな 益弘※「恋ひ死ぬ」とは人を恋焦がれて死ぬこと。 いまどき、そんな純な人はいないであろうが・・・。

寒施行

きょうの自選句。寒施行鞍馬の山の魑魅にも 益弘※魑魅は「すだま」と読む。化け物、妖怪、霊のこと。 魑魅魍魎の「ちみ」である。

きょうの自選句。鯨ああ尾鰭直立して消ゆる 益弘

春未だ

きょうの自選句。鳥獣に春未だしき高山寺 益弘※「春未だ」「春遠し」「春遠からじ」「春隣」も「春近し」の傍題である。初冬、仲冬にこれらの季語は使えない。春が近いこの時期だからこそ、春未だ、春遠し、を実感できるのだ。日本人の繊細微妙な季節感覚、言語…

日脚伸ぶ

きょうの自選句。片隅に蜂の屍日脚伸びてをり 益弘

雪仏

きょうの自選句。雪仏ひそかに雪に埋もれけり 益弘

雪景色

きょうの自選句。雪景色黒絵の具もて描きける 益弘

厳冬

きょうの自選句。厳冬や標本室の千の蝶 益弘

春を待つ

きょうの自選句。腰つよき讃岐うどんや春を待つ 益弘

平和しか知らぬ・・・

きょうの自選句。平和しか知らぬ我等や寒雀 益弘

大寒

きょうの自選句。大寒の真顔泣き顔知らん顔 益弘

梟(ふくろう)

きょうの自選句。梟のゴロスケホッホッ闇を統ぶ 益弘※フクロウの近縁のアオバズクは二声鳥とも呼ばれ「ホッホー ホッホー」と啼く。青葉の頃、我が家のある双ヶ丘にも渡ってきて夕刻からしきりに啼いている。まことに淋しい声である。フクロウの啼き声は「ホ…

永久歯

きょうの自選句。正月の密かに抜けし永久歯 益弘

阪神淡路大震災忌

きょうの自選句。山眠るふつと活断層のこと 益弘

影法師

きょうの自選句。飛ばざれば冬の蝿にも影法師 益弘

炬燵猫

きょうの自選句。亡き祖母の忘れてゆきし炬燵猫 益弘

狂ひ花

きょうの自選句。狂ひ咲く花の自由か不自由か 益弘

ロボット

きょうの自選句。ロボットの犬撫でやれば冷たさよ 益弘※正岡子規に日のあたる石にさはればつめたさよ 高浜虚子に手で顔を撫づれば鼻の冷たさよという高名な句がある。もちろん、私の句はとてもこれらに及ぶべくもない。

日脚伸ぶ

きょうの自選句。吊革にゆらりと日脚伸びゐたり 益弘

越(こし)のひと・・・

きょうの自選句。越のひと京の底冷かこちける 益弘※タクシーの運転手に何度か聞いたことだが、「北海道や雪国から京都観光に来られた人から、京都は本当に寒いとよく言われる」そうだ。気温では比べものにならないほど北海道などは寒いはずなのだが・・・。…

寝付かぬ脳

きょうの自選句。寝酒して寝付かぬ脳を如何にせむ 益弘※常に睡眠不足である。寝る直前までPCに向い、指を酷使しているからか寝付きが悪く、一時間二時間悶々とすることが度々である。寝酒は冬の季語だが、私にとっては「年中」のこと。寝酒をしても眠れない…

きょうの自選句。鶴を見る姿勢正しく歩むため 益弘

冬籠

きょうの自選句。美しき昆虫図鑑冬籠り 益弘

電気をとほす・・・

きょうの自選句。冬麗の電気をとほすプラスチック 益弘

ひむがしへ

きょうの自選句。ひむがしへ目映く翔けて初鴉 益弘※「初鴉」は元旦の鴉のこと、都会の嫌われ者もこのときばかりは「瑞兆」とされる。「ひむがし」は「ひがし」・東方のこと。国語的には「ひがし」の語源を「ひむがし」までしか遡れないそうだが、「ひむがし」→…

初夢

きょうの自選句。初夢の天にありしよ非常口 益弘

猫にも賀状

きょうの自選句。獣医より猫のいたゞく賀状かな 益弘

恵方詣

きょうの自選句。恵方へと魔物の金を持ち歩く 益弘

御慶

きょうの自選句。ばつたりと四条に遇ひし御慶かな 益弘