益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

2007-12-01から1ヶ月間の記事一覧

年の夜 除夜

きょうの自選句。年の夜の観念したる静寂かな 益弘※静寂=しじま

湯冷

きょうの自選句。ひいてゆく汐うつくしき湯冷かな 益弘

おでん

きょうの自選句。酌下手の汝を愛しむおでんかな 益弘

鮟鱇

きょうの自選句。鮟鱇を裂き摑みだす地獄かな 益弘

枯木

きょうの自選句。枯木中一つの枯木画きゐたり 益弘

年忘れ 忘年会

きょうの自選句。おなじ見世おなじ止まり木年忘れ 益弘

聖樹 クリスマスツリー

きょうの自選句。ゆきずりの嬰の泣きやむ聖樹かな 益弘※嬰=やや

クリスマスイブ

きょうの自選句。らふそくの火のやはらかきイブの闇 益弘

寒風

きょうの自選句。寒風を歩みて何か見失ふ 益弘

きょうの自選句。狩の天谺のたびに青まさる 益弘

冬深し2

きょうの自選句。冬深し標本室の千の蝶 益弘

冬ぬくし

きょうの自選句。清水へ七味を買ひに冬ぬくし 益弘

凍る 凍つ

きょうの自選句。金星のひとつぶのほか世は凍つる 益弘

きょうの自選句。狼の絶滅以後の堕落かな 益弘

落葉

きょうの自選句。この路のみるみる銀杏落葉かな 益弘

雪国

きょうの自選句。雪国を出てゆく太郎次郎かな 益弘

冬深し

きょうの自選句。冬深きわたしの中の静電気 益弘

山眠る

きょうの自選句。山眠るふつと活断層のこと 益弘

冬の霧

きょうの自選句。冬の霧マンハッタンの鳴動す 益弘

手套 手袋

きょうの自選句。弱気を匿す黒革の手套かな 益弘

冬の朝

きょうの自選句。半熟の黄身うるはしき冬の朝 益弘

屏風

きょうの自選句。屏風絵の虎耽耽とこちを視る 益弘

冬麗 冬日和

きょうの自選句。冬麗の電気をとほすプラスチック 益弘

冬館

きょうの自選句。幸福の木に薄ぼこり冬館 益弘

冬籠

きょうの自選句。粘菌を見る虫眼鏡冬ごもり 益弘

しぐれ

きょうの自選句。しぐれては祇園の燈し華やげる 益弘

虎落笛

きょうの自選句。広島は鬼哭の街よ虎落笛 益弘

きょうの自選句。絵襖のつぎつぎ開きて謀反なり 益弘

きょうの自選句。雪の夜の夢に逢ひ得ぬひとと逢ふ 益弘

裸木

きょうの自選句。裸木が云へり切つてみよと云へり 益弘