益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧

大年・大晦日

きょうの自選句。大年の使ひし水を水に捨つ 益弘

年惜む

きょうの自選句。一服の紫煙のゆくへ年惜む 益弘

行く年

きょうの自選句。行く年の電車の中を歩いてゐる 益弘

師走

きょうの自選句。地球儀の極地の塵も師走かな 益弘

しぐれ

きょうの自選句。背なの荷を降ろす背なにもしぐれけり 益弘

年の瀬

きょうの自選句。年の瀬の誰かに背中押されたる 益弘

山眠る

きょうの自選句。山眠るふつと活断層のこと 益弘

夜半の冬

きょうの自選句。いづこへと行く靴音や夜半の冬 益弘

天皇誕生日

きょうの自選句。佳き墨を買ひて天皇誕生日 益弘

冬至

きょうの自選句。真向に冬至の入日見了んぬ 益弘

冬眠

きょうの自選句。来世まで冬眠すとふ遺言かな 益弘

炬燵猫

きょうの自選句。半眼に全て見てをり炬燵猫 益弘

銀杏落葉

きょうの自選句。この路のみるみる銀杏落葉かな 益弘

年忘れ

きょうの自選句。ひそやかに恋人と逢ふ年忘れ 益弘

きょうの自選句。誰か咳きて地下道響せり 益弘※咳(しわぶ)く、響す(とよもす・どよもす)

毛布

きょうの自選句。蛹のごと白き毛布に昏睡す 益弘※蛹(さなぎ)

冬の蝶

きょうの自選句。一といふ淋しき数字冬の蝶 益弘

帰り花

きょうの自選句。帰り咲くはんなりといふ京言葉 益弘

冬ざれ・冬景色・冬の色

きょうの自選句。冬ざれや飛ばざる鶏は空を見ず 益弘

埋火

きょうの自選句。埋火のまま消えゆくに似たること 益弘

鮟鱇

きょうの自選句。鮟鱇を裂き摑み出す地獄かな 益弘

室の花

きょうの自選句。死ぬ人の髭伸びてをり室の花 益弘

風邪

きょうの自選句。天井をつぶさに見たり風邪に寝て 益弘

きょうの自選句。鷹は吾に見えざるものを見てゐるらむ 益弘

冬の猫

きょうの自選句。臨終のほとりに寝まる冬の猫 益弘

喪中一葉

きょうの自選句。喪中一葉来しよりの十二月 益弘

裸木

きょうの自選句。裸木となり単純に考へよ 益弘

日向ぼこ

きょうの自選句。死後の界たれも知らざり日向ぼこ 益弘

冬の園

きょうの自選句。声出して聖書読むひと冬の園 益弘

狐火

きょうの自選句。狐火も座敷わらしもダムの底 益弘