益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

草笛

きょうの自選句。学校に来ぬ子草笛上手なり 益弘

夏暖簾

きょうの自選句。一雨の予感に揺るゝ夏のれん 益弘

更衣

きょうの自選句。衣更へて宵の止まり木白ワイン 益弘

蛍火2

きょうの自選句。目を瞑るごとくに消えて死蛍 益弘

蛍火

きょうの自選句。蛍火の消えて胸の火消え残る 益弘

バナナ

きょうの自選句。ラバウルの話してゐるバナナかな 益弘

夕涼(ゆうすず)

きょうの自選句。夕涼の橋より橋を眺めけり 益弘※三条大橋より四条大橋を眺めた時の感懐。 両橋とも歴史的建造物であり、鋼鉄製ではないので 今回のいわゆる「橋梁談合」とは無縁でしょうね。

夜店のひよこ

きょうの自選句。鳴くしかなく夜店のひよこ鳴いてをり 益弘

青時雨

きょうの自選句。青時雨去来の墓にわが髪に 益弘※青時雨、青葉時雨は雨に濡れた青葉から溜った雫がこぼれ落ちることを云う。青葉の頃の雨そのものを指す季語ではない。

ジョン万次郎

きょうの自選句。ジョン万次郎になりたき飛魚かな 益弘※飛魚、ここでは「とびお」と読む。

白夜

きょうの自選句。金髪をシーツに拾ふ白夜かな 益弘

きょうの自選句。虹の下ビルを壊してをりにけり 益弘※虹は何故「虫偏」なのか? 古代中国では蛙や蛇同様に虹も「虫」と見なされていたのである。 空に懸かる竜と考えたようで、その雄を「虹(こう)」と言った。 雌の虹は「霓(げい)」と言う。 しかし、その雌雄…

遺言(いごん)

きょうの自選句。金魚のこと宜しくといふ遺言かな 益弘

雪渓

きょうの自選句。雪渓に花束を置く人のあり 益弘

琵琶湖

きょうの自選句。山涼し琵琶湖は琵琶のかたちして 益弘※琵琶湖は何故、琵琶湖というのか? 形が楽器の琵琶に似ているから、というのが通説だが 調べるとそう簡単ではないことが分かる。 キーワード「琵琶湖の由来」として検索して頂きたい。

蝸牛

きょうの自選句。蝸牛もはろけき旅の途中なる 益弘

夜の蟻

きょうの自選句。夜の蟻をつまみて夜へ帰しけり 益弘

夕青空

きょうの自選句。衣更へて夕青空となりにけり 益弘

一見(いちげん)

きょうの自選句。打水や一見の客入れぬ見世 益弘※祇園や先斗町界隈の料亭、旅館、お茶屋には「一見様、お断り」というところが少なからずある。何故、一見様はいやがられるのだろうか?・支払いが「つけ」なので、信用のある人でないと困る。・「店肌が荒れる…

水中花

きょうの自選句。入口も出口もなくて水中花 益弘

きょうの自選句。絶滅以後絵本に潜む狼よ 益弘※狼は熊や狐、狸とともに冬の季語だが、 既に日本では絶滅?しており 冬季として分類する根拠は甚だ希薄である。 掲句は「無季の句」として詠んでいる。

夏燕

きょうの自選句。岬にも四五戸住みなす夏燕 益弘

昧爽(まいそう)

きょうの自選句。昧爽と書きて言霊涼しけれ 益弘※言霊は言葉を神聖視した言い方。 古くより言葉は霊力を宿す、と信じられてきた。 私は今もそう信じている。 言葉の霊力を信ずることなしにものは書けない。

短夜3

きょうの自選句。明急ぐ光源氏のものがたり 益弘

短夜2

きょうの自選句。短夜の逢瀬のための時刻表 益弘

短夜

きょうの自選句。短夜の女指環を置き忘る 益弘

砂鉄の如く

きょうの自選句。黄金週間砂鉄のごとく吸ひ寄せられ 益弘

京洛

きょうの自選句。京洛は朧のたまる器なり 益弘

てふてふ

きょうの自選句。てふてふに隙を見せて坐つてゐる 益弘

若芝・春の芝

きょうの自選句。しばらくは泣かせておきぬ春の芝 益弘