益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

鈴虫

きょうの自選句。鈴虫の鈴のうちなる眠りかな 益弘

ピエロ

きょうの自選句。ピエロまだピエロのままの夜食かな 益弘

夜食

きょうの自選句。夜食とる一人に離れ一人かな 益弘

糸瓜

きょうの自選句。無為にしていよいよ曲る糸瓜かな 益弘

夏痩せ

きょうの自選句。夏痩せてゐて一行詩生まれけり 益弘

寒蝉

きょうの自選句。とこしへに寒蝉よりも遠きひと 益弘※寒蝉は、秋深くなっても尚一匹鳴いている法師蝉のこと。

露けし

きょうの自選句。露けしや掌に三粒の腹薬 益弘

現し身

きょうの自選句。冷酒に現し身あつくなり始む 益弘

秋蛍

きょうの自選句。おもひでの一つ二つや秋蛍 益弘

新涼

きょうの自選句。新涼や湖の砂吐く蜆貝 益弘

秋めく

きょうの自選句。八月も二十日の渚もとほりし 益弘※「もとほる」=徘徊すること。

形見分け

きょうの自選句。秋燈下形見分けてふことをせし 益弘

初秋

きょうの自選句。初秋の畳をありく子かまきり 益弘※「ありく」は歩く、動き回ること。

朝顔

きょうの自選句。朝顔の紺を愛する家系かな 益弘

肝試し

きょうの自選句。肝試しすれ違ひしは誰ならん 益弘

大文字

きょうの自選句。人々の息しづかなり大文字 益弘

終戦忌

きょうの自選句。蝉に倦み太陽に倦み終戦忌 益弘

再び、かなかな

きょうの自選句。かなかなや鏡の奥の幾山河 益弘

かなかな・蜩

きょうの自選句。かなかなや近くて遠き九十九折 益弘※九十九折・つづらおり=曲がりくねった坂道のこと。

秋の蝶

きょうの自選句。ひとつひとつ供華を訪ぬる秋の蝶 益弘

再び、残暑

きょうの自選句。耳掻きのころがつてゐる残暑かな 益弘

残暑

きょうの自選句。大阪の水の輝く残暑かな 益弘

空蝉

きょうの自選句。空蝉に恍惚の目見のこりけり 益弘※目見・まみ=目つき、まなざしのこと

箸休め

きょうの自選句。三伏の箸の先なる箸休め 益弘

京町家

きょうの自選句。蕗を煮て町家の奥の暗きかな 益弘

原爆忌

きょうの自選句。地の水のみるみる乾ぶ原爆忌 益弘※「乾ぶ」からぶ=乾く、ひからびる。

打水

きょうの自選句。水打つて創業三百五十年 益弘

手花火

きょうの自選句。手花火の二人ぽつちでありにけり 益弘

熱帯夜

きょうの自選句。延々としてきのふなり熱帯夜 益弘

炎帝

きょうの自選句。炎帝の死角の闇へ投函す 益弘