益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

2018-01-01から1年間の記事一覧

日記果つ

自選句。倖せか余白の多き日記果つ 益弘

行く年 年逝く 年流る 去ぬる年 年送る 年歩む

自選句。年歩む恐ろしきほどのしづけさで 益弘

蒲団 布団 干蒲団

自選句。ウヰスキーひと口ふゝむ蒲団かな 益弘

掃納

自選句。大時計の内部の暗き掃納め 益弘

牡丹鍋 猪鍋 山鯨 猪肉

自選句。猪鍋の煮え立つ比叡颪かな 益弘

雪女 雪女郎

自選句。雪をんな曲つても曲つても迷路なる 益弘

冬晴 冬日和 冬麗 冬うらら 冬晴るる

自選句。冬麗のどこかにジャムを煮る香 益弘

年の暮 歳暮 歳末 歳晩 年末 年の瀬 年の果 年暮る 年詰る

自選句。年の瀬をやをら過りぬ霊柩車 益弘

天皇誕生日

自選句。佳き墨を買ひて天皇誕生日 益弘

冬の夕焼 冬夕焼 寒夕焼

自選句。音消して救急車去る寒夕焼 益弘

雪 六花 大雪 小雪 粉雪 細雪 小米雪 新雪 根雪 深雪 飛雪 雪明り 雪晴 深雪晴

自選句。自動車も静かなオブジェ深雪晴 益弘

竈猫 灰猫 へつつひ猫 炬燵猫 かじけ猫

自選句。炬燵猫ときどき覚めて美食せる 益弘

冬の灯 冬灯 寒灯 冬ともし

自選句。寒灯をいくつも点し一人なる 益弘

歳暮 お歳暮 歳暮祝ひ 歳暮の礼 歳暮返し

自選句。酒ばかり届くを恥づる歳暮かな 益弘

冬籠 2

自選句。うつくしき蝶類図鑑冬ごもり 益弘

冬籠

自選句。冬籠るつむりの中の詰将棋 益弘

賀状書く

自選句。賀状書き了ふ皓々と月ありぬ 益弘

冷たし 底冷

自選句。底冷の紫がかり比叡昏るゝ 益弘

冬鴎

自選句。オロシヤの舶を怖れず冬かもめ 益弘

枯野 枯野道 枯野人 枯野宿 枯野星 2

自選句。一點へ収斂しゆく枯野人 益弘

枯木 裸木 枯枝 枯木立 枯木道 枯木山 枯木星

自選句。これやこの枝垂桜の枯木かな 益弘

火事 大火 小火 近火 遠火事 昼火事 火事見舞

自選句。火事跡を離れぬ犬のをりしこと 益弘

風邪 感冒 流行風邪 流感 鼻風邪 風邪声 風邪心地 風邪籠 風邪薬 風邪の神

自選句。休校の砂場に遊ぶ風邪の神 益弘

開戦記念日 開戦日 十二月八日

自選句。十二月八日未明の放屁かな 益弘

枯野 枯野道 枯野人 枯野宿 枯野星

自選句。落日を一鳥よぎる枯野かな 益弘

水仙 水仙花

自選句。手を浸けて海ぬくかりし水仙花 益弘

山眠る 眠る山

自選句。山眠るふつと活断層のこと 益弘

冬凪 寒凪

自選句。冬凪いで猫日和とぞなりにける 益弘

冬の蝶 凍蝶

自選句。冬の蝶大きあを空残しけり 益弘

年忘 忘年会

自選句。密やかにこひびとと逢ふ年忘れ 益弘