益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

きょうの自選句。一切を水の見てゐし櫻かな 益弘

花人

きょうの自選句。花人のまま下京をもとほりし 益弘

胡蝶

きょうの自選句。化野に胡蝶の空のありにけり 益弘

桜と骸骨

きょうの自選句。校庭に花理科室にスケルトン 益弘

花の雨

きょうの自選句。一力に停まるハイヤー花の雨 益弘

きょうの自選句。花咲いて祇園の夜空燃え易し 益弘

花冷

きょうの自選句。あをあをと花冷の空ありにけり 益弘

花月夜

きょうの自選句。ひとつぶの雫の中の花月夜 益弘

花の宿

きょうの自選句。板前はむかし美男子花の宿 益弘

日永

きょうの自選句。戻りきて象をかなしむ日永かな 益弘

夜半の春

きょうの自選句。寝ねがてに須磨の巻など夜半の春 益弘※「須磨の巻」とは源氏物語第12帖の須磨の巻のこと。 古来、源氏物語のあまりの長さに、 多くの人がこの須磨の巻あたりで読むのを諦めてしまう。 これを「須磨返り」と云う。

花衣

きょうの自選句。待ち合すフラミンゴのまへ花衣 益弘

風船

きょうの自選句。なにもかも未定風船放つべし 益弘

春の宵

きょうの自選句。春宵の家路を急ぐ理由なし 益弘

麗日

きょうの自選句。うらうらと茶碗は買はで茶わん坂 益弘

春装

きょうの自選句。春装のひと鏡より出でゆきし 益弘

桜鯛

きょうの自選句。桜鯛紀淡海峡晴れ極む 益弘

初桜

きょうの自選句。としよりの眼のすぐ潤む初桜 益弘

初燕

きょうの自選句。母郷より字も失せし初燕 益弘※「字」は「あざな」。母の里、京都府北桑田郡京北町が私の住む京都市右京区に編入された。京都市右京区京北になったのである。行政の最小区分「字」も消えた。母が生きていたらさぞ驚くことであろう。縦貫道路ができ…

目刺

きょうの自選句。一合はゆるされてをる目刺かな 益弘

朧夜

きょうの自選句。朧夜の痒きところに届かぬ手 益弘

鳥雲に入る

きょうの自選句。いつからが晩年か鳥雲に入る 益弘

残る鴨

きょうの自選句。かにかくに祇園の川音残る鴨 益弘※川音=かわと。

うぐひす

きょうの自選句。うぐひすを聴きゐて白湯のうつくしき 益弘

梅日和

きょうの自選句。梅日和片手袋の落ちてゐし 益弘

はるぬ

きょうの自選句。そこここに侏儒のさ走るはるぬかな 益弘※はるぬ=春野、春郊

きょうの自選句。一服の向精神薬真夜の蝶 益弘

春の雪

きょうの自選句。生るゝ子はきつと美男子春の雪 益弘

春の芝

きょうの自選句。しばらくは泣かせてをきぬ春の芝 益弘

長閑

きょうの自選句。バス停のダイヤ眺めてゐてのどか 益弘