益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧

先斗町

きょうの自選句。春燈のともりて暗し先斗町 益弘

美しき飢え

きょうの自選句。美しく磯巾着の飢ゑにけり 益弘※昨年の作。 「飢う」はワ行下二段活用の自動詞。よって「飢ゑ・・・」となる。

昨日に続き「春眠」

きょうの自選句。春眠やま白き繭に身を屈め 益弘※「屈め」は「くぐめ」と読む。

水脈(みお)

きょうの自選句。春眠の水脈の如きが覚めてなほ 益弘

薄氷

きょうの自選句。覚めてすぐ忘るゝ夢や薄氷 益弘

海市(かいし)

きょうの自選句。抱擁のあなたに浮む海市かな 益弘※「海市」は「蜃気楼」のこと。「あなた」は「彼方」。 「浮む」は「浮ぶ」のこと、タイプミスではありません、 念のため。

明朝体

きょうの自選句。春燈や明朝体のうつくしき 益弘

蝌蚪

きょうの自選句。蝌蚪に手が出てもう魚にはなれぬ 益弘

春しぐれ

きょうの自選句。三条に大橋小橋春しぐれ 益弘

天神様の細道・・・

きょうの自選句。通りやんせどの細道も梅薫る 益弘

五色豆

きょうの自選句。よく笑ふ春の三時の五色豆 益弘

二月

自選句。 切結ぶ竹の音聴く風二月 益弘

朝寝

きょうの自選句。なるやうになればよろしき大朝寝 益弘

春の夢

きょうの自選句。絹の道もとほりゐたる春の夢 益弘

逃げ水

きょうの自選句。逃げ水を追へる人生かも知れず 益弘

しゃぼん玉の・・・

きょうの自選句。しやぼん玉のこはれて消ゆるほどのこと 益弘

信長の草履の上(え)

きょうの自選句。蟻穴を出て信長の草履の上 益弘※十年ほど前の作だが、私の代表作と言えるものの一つ。 今後、「自選三百句」いや「自選百句」を編むとしても 外すことはない句である。 尚「蟻穴を出る」という季語を使うのは この時期としてはまだ少し早い。

建国記念の日

きょうの自選句。日章旗いづく建国記念の日 益弘

春泥

きょうの自選句。東京がつくられてゆく春の泥 益弘

春は曙

きょうの自選句。春はあけぼの珈琲はアメリカン 益弘※「春は曙、夏は夜、秋は夕暮、冬はつとめて」 清少納言の著名な「断言の美」である。 掲句は二年前の作。

恋の猫

きょうの自選句。恋猫となれずテレビの上にをる 益弘※春は猫の繁殖期、春浅いうちから「猫の恋」は始まる。 しかし、最近は去勢猫が増えたのか、「恋猫」「猫の恋」を あまり見かけなくなった。 我が家のチコも去勢猫、相も変らずテレビの上で安眠を貪っている。

土光敏夫

きょうの自選句。目刺喰へば土光敏夫のこと思ふ 益弘

はんなり

きょうの自選句。はんなりと霞棚引く東山 益弘※「はんなり」は京都弁、京言葉で 「はなやかで、上品で、しとやかで」といった意味。 なかなか説明が難しい語。単に綺麗なこと、美しいことを 「はんなり」とは言わない。あくまでも、上品であることに 重きが置か…

いにしへの人

きょうの自選句。野を焼きていにしへの人立つ如し 益弘※昨日に続き「野焼き」の景。 古き世より人類は野を焼き、畑を焼き、農耕を営んできた。「いにしへの人」は「昔の人」のこと。「いにしへびと」とすると「昔からの顔馴染み」「昔の夫」といった意味になる。

立春、寒明

きょうの自選句。まつろはぬ野火蛇の如く打たれけり 益弘※「まつろふ」は「従う」こと。 「蛇の如く」は「じゃのごとく」と読んで頂きたい。

鬼は外福は内

きょうの自選句。鬼は外福は内ふつと亡父のこと 益弘

霏々(ひひ)と雪

きょうの自選句。侮れぬ雪となりけり洛中図 益弘※京都市内でも11センチの積雪。 今朝は自転車での通勤に労力を費やした。

粘菌を視る

きょうの自選句。粘菌を視る虫眼鏡冬籠 益弘