益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

蜜柑

きょうの自選句。蜜柑に爪深く悪女かも知れず 益弘

冬芽

きょうの自選句。ひとつづつ冬芽の影や少年期 益弘

湯冷

きょうの自選句。レンズに土星蒼かりし湯冷かな 益弘

冬帽子

きょうの自選句。御仏のまへ冬帽子脱ぎたまへ 益弘

冬鴎

きょうの自選句。玻璃ごしに切なき白の冬かもめ 益弘

きょうの自選句。狼の絶滅以後の堕落かな 益弘

雪の町

きょうの自選句。美しき真顔に逢ひし雪の町 益弘

クリオネ

きょうの自選句。クリオネの密かに還る銀河の尾 益弘

祇園さん

きょうの自選句。陽射しにも年賀の余韻祇園さん 益弘

日脚伸ぶ

きょうの自選句。吊革にゆらりと日脚伸びてをり 益弘

きょうの自選句。鷹は去れど心の中に鷹を飼ふ 益弘

大寒

きょうの自選句。大寒の真顔泣き顔知らん顔 益弘

おでん酒

きょうの自選句。おでん酒おやぢも泣いておひらきに 益弘

寒泳

きょうの自選句。明治より生きてゐる人寒泳す 益弘

寒の水

きょうの自選句。燦燦と腑に沁みわたる寒の水 益弘

雪国

きょうの自選句。雪国を出てゆく太郎次郎かな 益弘

毛布

きょうの自選句。死ぬ人の深雪のやうな白毛布 益弘

暖冬

きょうの自選句。暖冬のあくびちふもの伝染す 益弘

寒桜

きょうの自選句。しろがねの月に見ごろの寒桜 益弘

寒風

きょうの自選句。寒風や歩めば何か見失ふ 益弘

寒卵

きょうの自選句。寒卵記憶の母がコツと割る 益弘

寒怒濤

きょうの自選句。寒の怒濤に雄ごころの巌かな 益弘

冬深し

きょうの自選句。冬深きわたしの中の静電気 益弘

きょうの自選句。妥協せじ寒の断崖見て帰る 益弘

炬燵

きょうの自選句。炬燵して脳の大部を使はざる 益弘

姫始

きょうの自選句。ワインロゼ互に酌みぬ姫始 益弘※互(かたみ)に

初凪

きょうの自選句。初凪やどの貝殻も傷負へる 益弘

淑気

きょうの自選句。花かつをふはりと香る淑気かな 益弘

買初

きょうの自選句。買初の元祖みたらし団子かな 益弘

初詣

きょうの自選句。相識らぬ幾万人や初まうで 益弘