益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

冷し酒 冷酒

きょうの自選句。漁火の不意にかなしく冷し酒 益弘

灼く

きょうの自選句。たゞ灼けて芹沢鴨の小さき墓 益弘

蝮 蝮酒

きょうの自選句。蝮酒六根すべて火めきける 益弘

苔の花

きょうの自選句。業平の終の栖の苔の花 益弘※在原業平の終の栖=十輪寺

曝書 虫干し

きょうの自選句。父の世の少年倶楽部曝すかな 益弘

梅雨晴

きょうの自選句。梅雨晴のイノダコーヒのテラス席 益弘

サーファー サーフィン 波乗り

きょうの自選句。サーファーの窓際占むるグリルかな 益弘

風死す

きょうの自選句。風死して遺る手回し蓄音機 益弘

冷房2

きょうの自選句。冷房の効きゐて壁に原爆図 益弘

霍乱 日射病 熱中症

きょうの自選句。金閣の金を見過ぎし霍乱か 益弘

花氷

きょうの自選句。千人の千のまなざし花氷 益弘

氷菓

きょうの自選句。天龍寺さま門前に氷菓舐む 益弘

きょうの自選句。簾美し祇園新橋巽橋 益弘※美し=はし

夏の宵

きょうの自選句。夏の宵ぶぶ漬でもとすゝめらる 益弘※ぶぶ漬=お茶漬のこと 京言葉

冷房

きょうの自選句。大なゐをただ拱ける冷房裡 益弘※拱く=こまぬく こまねく

父の日

きょうの自選句。さりげなく父の日の父旅にあり 益弘

片蔭 片かげり2

きょうの自選句。そのむかし駄菓子屋ありし片かげり 益弘

片蔭 片かげり

きょうの自選句。大路より小路たのもし片かげり 益弘

たかむな たかんな 筍

きょうの自選句。たかむなの早やも長髄彦の丈 益弘※長髄彦=ながすねひこ

短夜

きょうの自選句。短夜や忘れてゆきし耳飾り 益弘

螢 ほうたる

きょうの自選句。数へしは十まりほうたる乱舞せる 益弘

夏落葉 常磐木落葉

きょうの自選句。譬ふれば夏落葉なる往生か 益弘

舟虫

きょうの自選句。舟虫と見れば即ち失せてけり 益弘

きょうの自選句。黴の書の扉にゑまふマルクスよ 益弘

梅雨

きょうの自選句。方程式解けぬも梅雨のせゐにする 益弘

梅雨晴間 梅雨晴れ

きょうの自選句。八ツ橋のニッキの香り梅雨晴間 益弘

ぶんぶん かなぶん 黄金虫2

きょうの自選句。かなぶんの永き仮死とは真実の死 益弘※真実=まこと

涼し

きょうの自選句。獣にして草喰めるもの皆涼し 益弘

滝 瀑布

きょうの自選句。ナイアガラ瀑布の前に無となりぬ 益弘

梅雨の蝶

きょうの自選句。美しき思案のさ中梅雨の蝶 益弘