益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

2005-07-01から1ヶ月間の記事一覧

水鉄砲

きょうの自選句。水鉄砲手にもう子供にはなれず 益弘

団欒(まどい、だんらん)

きょうの自選句。団欒ありき扇風機の風頒かち 益弘

素足

きょうの自選句。ぶらぶらと昭和をおもふ素足かな 益弘

阿国像

きょうの自選句。これがまあ京の暑さや阿国像 益弘

手花火

きょうの自選句。手花火を手向としたり猫の墓 益弘

昼花火

きょうの自選句。無為にして彼方かなたの昼花火 益弘

白日傘

きょうの自選句。白日傘シルクロードに忘れあり 益弘

暑気払い

きょうの自選句。真紅なる火酒をもて暑気払ひとす 益弘

猛暑、酷暑、溽暑

きょうの自選句。地球儀に埃のたまる暑さかな 益弘

黒日傘

きょうの自選句。二十一世紀を歩く黒日傘 益弘

きょうの自選句。簾しておもかげの母座りゐる 益弘

片蔭

きょうの自選句。片蔭へ片蔭へ年とつてゆく 益弘

蝮酒

きょうの自選句。蝮酒もつとも暗き処にしまふ 益弘※「処」は「と」と読む。ところ・場所のこと。 蝮酒は生け捕りにした「まむし」を焼酎に漬けたもの。

きょうの自選句。佳き日なり錦市場に鱧買うて 益弘※関東には「鱧(はも)」を知らない人が多いが 関西では、夏料理に最も珍重される。 また、祭には欠かせぬ魚で「祭鱧」と称し、 祇園祭は「鱧祭」とも呼ばれているほどだ。

山鉾巡行

きょうの自選句。鉾まはす裏方の貌佳かりける 益弘

祇園囃子

きょうの自選句。夜空より祇園囃子のしだれけり 益弘

背泳

きょうの自選句。空真青にて背泳の孤独なる 益弘

打水

きょうの自選句。水打つてむらさきに昏る京の隅 益弘

きょうの自選句。超新星爆発の夜の蝉のこゑ 益弘

海月

きょうの自選句。海月沈むいささかの意志ありぬべし 益弘

芥子の花

きょうの自選句。花芥子の盛りなりけり飢餓の国 益弘

蜥蜴(とかげ)

きょうの自選句。しましまのきらきらなりし蜥蜴かな 益弘

遠花火

きょうの自選句。遠花火まなうらに尚しだれけり 益弘

曝書

きょうの自選句。曝書して昭和時代を旅してをり 益弘

避暑ホテル

きょうの自選句。エマヌエル夫人に逢ひぬ避暑ホテル 益弘

幽霊

きょうの自選句。いうれいに訊ねてみたる落し物 益弘

大御歳(おほんとし)

きょうの自選句。蝿見事打ちて大御歳九十 益弘

きょうの自選句。喪の酒に酔ふ鰻屋の二階かな 益弘

夏旺(さか)ん

きょうの自選句。夏旺んなり蟻喰は蟻を喰ひ 益弘

きょうの自選句。水無月の下京に鱧食うべけり 益弘