益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

梅 好文木 花の兄 春告草 野梅 紅梅 白梅 枝垂梅 盆梅 老梅 梅が香 梅林 梅園 梅月夜 梅日和 梅二月 梅の宿

自選句。 撫で牛は石のつめたさ梅白し 益弘

立春 春立つ

自選句。 立春のなかなか立たぬ卵かな 益弘

豆打つ 豆撒く 鬼遣 追儺

自選句。 豆打や闇がたぢろぐ闇の中 益弘

厄落 厄払 厄詣 厄の薪

自選句。 北野より平野へまゐる厄落し 益弘

冬終る 冬尽く 冬の果 冬の名残

自選句。 空席が一つ密かに冬去りぬ 益弘

春近し 春隣

自選句。 薄紙の中の京菓子春近し 益弘

冬桜 寒桜 緋寒桜

自選句。 月光のそこだけ皓し寒櫻 益弘

春近し 春隣

自選句。 島の灯が真珠のごとし春隣 益弘

火事 大火 小火 近火 遠火事 昼火事 火事見舞

自選句。 火事跡を離れぬ犬のをりしこと 益弘

寒の月 寒月 冬の月

自選句。 深海の如き夜天や寒の月 益弘

湯冷

自選句。 レンズに土星蒼かりし湯冷かな 益弘

年賀状 賀状

自選句。 寡婦よりのあえかに香る賀状かな 益弘

春待つ 待春

自選句。 待春の身をひるがへす近江鯉 益弘

冷たし 底冷

自選句。 ロボットの犬撫でやれば冷たさよ 益弘

冬の蝶 凍蝶

自選句。 とほくより来てとほく行く冬の蝶 益弘

寒泳

自選句。 寒泳の老いの抜き手のうつくしく 益弘

氷河

自選句。 美しく氷河に眠りゐるひとよ 益弘

日脚伸ぶ

自選句。 吊革にゆらりと日脚伸びてをり 益弘

寒紅 丑紅

自選句。 寒紅や祇園は昏きところなる 益弘

冬の蠅

自選句。 冬の蠅罰があたつて生きてをり 益弘

御慶

自選句。 ばつたりと南座まへの御慶かな 益弘

手毬 手毬つく

自選句。 高層街衢手毬つく子の一人きり 益弘

セーター

自選句。 独身を徹す彼女の黒セーター 益弘

寒の水 寒九の水 寒水

自選句。 寒の水逆さ金閣揺るぎなく 益弘

自選句。 月に出て越のうさぎは白兎 益弘

雑煮 雑煮祝ふ 雑煮餅 雑煮椀

自選句。 白妙の嗚呼しろたへの京雑煮 益弘

北風 朔風 寒風 冬の風

自選句。 北風や拳に固く無をにぎる 益弘

初夢 獏枕

自選句。 初夢の亡き人々に賑はへる 益弘

寒の雨 寒九の雨

自選句。 止まり木に女将とふたり寒の雨 益弘

恵方詣 恵方 吉方 恵方道

自選句。 恵方へと魔物の金を持ち歩く 益弘