益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

秋嶺 秋の山

きょうの自選句。昃れば愁ひ顔なる秋の嶺 益弘

水の秋

きょうの自選句。北嵯峨に飛竜頭買ひぬ水の秋 益弘※飛竜頭は「雁もどき」のこと。関西で「ひりゅうず、ひりうず、ひろうす」と呼ばれる。京都では断然、「ひろうす」。(ヒロウスとはポルトガル語のフィリョース=filhos、小麦粉と卵を混ぜ合わせて油で揚げ…

竹の春

きょうの自選句。のゝ宮に絵馬のふえたる竹の春 益弘

秋思

きょうの自選句。サルトルの斜視にはじまる秋思かな 益弘

帰燕 秋燕

きょうの自選句。日時計の影鋭角に帰燕かな 益弘

秋高し

きょうの自選句。秋高し地に積まれたる古瓦 益弘

寂鮎

きょうの自選句。一とせの寂びたる鮎を食べをさむ 益弘

落鮎

きょうの自選句。落鮎の落つる離宮のほとりかな 益弘

秋気澄む

きょうの自選句。羚羊の視線に秋気澄みにけり 益弘

蓑虫

きょうの自選句。鬼の子と呼ばれて蓑にひそむかや 益弘

初鵙

きょうの自選句。初鵙に紺青の空ありにけり 益弘

芋煮会

きょうの自選句。上野発芋煮会へと帰る人 益弘※もう三十年近く昔のことだ。山形に嫁ぐ妹の婚礼が九月の今頃だった。当時、東京に住んでいた私も当然出席しなくてはならなくなり朝早く上野駅から山形に旅立ったものである。車中、芋煮会に帰る、という一団に…

三秋

きょうの自選句。三秋の吾にとり憑く漫ろ神 益弘

むかご

きょうの自選句。父が炊き母に供ふる零余子飯 益弘

林檎2

きょうの自選句。愛さねば林檎のすぐにカーキ色 益弘

草雲雀

きょうの自選句。きぬぎぬの言葉寂けき草ひばり 益弘

林檎

きょうの自選句。仮病われに母は林檎を剥きくれし 益弘

秋風

きょうの自選句。秋風やひとつ喪ふ永久歯 益弘

花野

きょうの自選句。花野行くいつか一人になる二人で 益弘

きょうの自選句。放たれし囮のとまる囮籠 益弘

天の川

きょうの自選句。天の川向うでも笑む母ならむ 益弘

西鶴忌

きょうの自選句。たこ焼を一舟買うて西鶴忌 益弘※西鶴忌 陰暦8月10日陽暦9月9日

秋思

きょうの自選句。我よりもゴリラの秋思深きらし 益弘

秋の風

きょうの自選句。人に皆ひとひらの背な秋の風 益弘

秋の雲2

きょうの自選句。いづくまで行く気の秋の片雲か 益弘

秋夕焼

きょうの自選句。秋夕焼朱鷺の滅びし話して 益弘

秋の雲

きょうの自選句。水の上を笹流れゆく秋の雲 益弘

きょうの自選句。ひとつぶの露の中なる月夜かな 益弘

虫の闇

きょうの自選句。その中に母郷のねむる虫の闇 益弘

秋の夜

きょうの自選句。秋の夜の振子時計の振子音 益弘