益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

芋煮会

きょうの自選句。

上野発芋煮会へと帰る人   益弘

※もう三十年近く昔のことだ。
山形に嫁ぐ妹の婚礼が九月の今頃だった。
当時、東京に住んでいた私も当然出席しなくてはならなくなり
朝早く上野駅から山形に旅立ったものである。

車中、芋煮会に帰る、という一団に声を掛けられ
早くも朝酒を勧められ、
酒好きの私は彼らとすっかり意気投合してしまったのだった。
みんな東京の一流企業のサラリーマンだったが、
芋煮会」は彼らにとって特別のもののようだった。
山形駅に着くころ、私も彼らも前後不覚だったように記憶している。

芋煮会」は季語として知ってはいたが、
春の花見に匹敵する大きな行事だと認識したのは
その時だった。