益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

凶年

きょうの自選句。凶年をきれいな蝶の舞ふことよ 益弘

京に七口

きょうの自選句。秋風の京に七口ありにけり 益弘

秋の蝶

きょうの自選句。秋蝶のなにやら急ぐ花背かな 益弘

花野

きょうの自選句。花野行くいつか一人になる二人で 益弘

秋の風

きょうの自選句。葬家へとつづく矢印秋の風 益弘

残暑

きょうの自選句。大阪の水の耀ふ残暑かな 益弘

秋の夜

きょうの自選句。秋の夜の振子時計の振子音 益弘

漫ろ神

きょうの自選句。三秋の吾にとり憑く漫ろ神 益弘

きょうの自選句。ひぐらしの昂ぶり吾の鎮もれる 益弘

蜻蛉

きょうの自選句。過疎の村とんぼにとんぼとまりをり 益弘

囮(おとり)

きょうの自選句。放たれし囮のとまる囮籠 益弘

精霊舟

きょうの自選句。しんがりの精霊舟も消ゆきけり 益弘※消(け)=消える。「消ゆ」の未然形連用形「消え」の転。

盆過

きょうの自選句。盆過やほうたる一つさ迷へる 益弘

ピエロ

きょうの自選句。ピエロまだピエロのままの夜食かな 益弘

秋白雲

きょうの自選句。死なばかの秋白雲に仰向きて 益弘

秋の水

きょうの自選句。秋水の鯉に背筋のありにけり 益弘

終戦忌

きょうの自選句。東京に不二見えてゐる終戦忌 益弘

きょうの自選句。霧と化すまで霧をゆく流離かな 益弘

涼し

きょうの自選句。涼しさや星に生死のあることも 益弘

晩夏

きょうの自選句。長江に入る日見とゞけけり晩夏 益弘

朝顔

きょうの自選句。朝顔の紺を愛する家系かな 益弘

きょうの自選句。ひとつぶの露の中なる月夜かな 益弘

朝焼

きょうの自選句。朝焼の褪せて東京起動せる 益弘

冷し酒

きょうの自選句。身のうちの鬼が悦ぶ冷し酒 益弘

夕焼川

きょうの自選句。人生のどのあたりなる夕焼川 益弘

原爆忌

きょうの自選句。ひしひしと石積むが見ゆ原爆忌 益弘

源氏の庭

きょうの自選句。これやこの源氏の庭の桔梗かな 益弘※源氏の庭・京都、盧山寺。

目高

きょうの自選句。つつがなく目高群れゐる虚空かな 益弘

三伏

きょうの自選句。三伏の箸の先なる箸休め 益弘

冷房

きょうの自選句。冷房の壁のわが影ひとり言つ 益弘