益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

目刺

きょうの自選句。おのれらも逃げ遅れしか青目刺 益弘

朝寝

きょうの自選句。もしかして死は恍惚か大朝寝 益弘

風車

きょうの自選句。恋失くしまた恋を得て風車 益弘

春愁

きょうの自選句。春愁の半ばにて佇つ渡月橋 益弘

春浅し

きょうの自選句。春浅し串ししやもにて独り酌み 益弘

春大河

きょうの自選句。春大河ねむれねむれと流れをり 益弘

朧月

きょうの自選句。死顔の祖母のゑくぼや朧月 益弘

春眠

きょうの自選句。春眠や文庫本にも上下巻 益弘

春の風邪

きょうの自選句。密かなる逢瀬のあとの春の風邪 益弘

風光る

きょうの自選句。ピッコロの音フリュートの音風光る 益弘※音=「ね」

春装

きょうの自選句。春装のひと鏡より出でゆきし 益弘

恋猫

きょうの自選句。恋猫よ猫撫で声を忘れしか 益弘

明朝体

きょうの自選句。春灯下明朝体のうつくしき 益弘

春の夢

きょうの自選句。大きなる繭の中なる春の夢 益弘

賀茂鶴

きょうの自選句。賀茂鶴でちびちびまゐる春の宵 益弘

昼蛙

きょうの自選句。昼蛙きのふのけふを酔うて候 益弘

北野より平野へ

きょうの自選句。北野より平野へ花を窺ひに 益弘

初午

きょうの自選句。初午やすずめ焼く香の裏参道 益弘※初午は稲荷神社の祭礼。京都、伏見稲荷大社の初午祭は有名で、市が立ち非常に賑う。米を食い荒らす雀は五穀豊穣の神様、お稲荷さんの敵ということで、雀の丸焼きは伏見稲荷の名物になっている。

末吉

きょうの自選句。梅が香や御籤をひけば末吉と 益弘

京湯葉

きょうの自選句。京湯葉と灯りし春の夜も更けぬ 益弘※京都では「湯葉」だが、関東(主に日光)では「湯波」と書く。また京都にも湯波としている老舗もある。

お玉杓子

きょうの自選句。童べの眸のおたまじやくしかな 益弘※童=わらは、わらべ、わらはべ、わらんべいずれも元服前の子供、十歳前後の子供。

春時雨

きょうの自選句。八ツ橋を焼きゐるかほり春時雨 益弘※「香・かおり」の旧仮名表記は正しくは「かをり」である。しかし、平安時代中期以降「かほり」が常用されており、芭蕉も「かほり」を使っている。契沖も歴史的仮名遣い研究書「和字正濫鈔」において「常に…

春雪

きょうの自選句。春雪霏々と鬼はまだそこにをる 益弘

春は名のみ

きょうの自選句。がうがうと篁鳴るに春立てり 益弘※篁(たかむら)=竹薮、竹林のこと。

クリオネ

きょうの自選句。クリオネのひそかに還る銀河の尾 益弘※クリオネは冬季の新しい季語。

節分

きょうの自選句。節分の豆うちあたる山河かな 益弘

寒鯉

きょうの自選句。寒鯉の一擲したる山河かな 益弘

早や二月

きょうの自選句。一月の水の如くに過ぎてけり 益弘