益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

秋の昼

きょうの自選句。静物のやうに坐しゐて秋のひる 益弘

蚯蚓鳴く

きょうの自選句。蚯蚓鳴いて六道の辻ひとけなし 益弘

蟷螂

きょうの自選句。青青と蟷螂飢ゑてゐたりけり 益弘

飛蝗・ばった

きょうの自選句。ばつた跳んで亜細亜大陸蒼茫たり 益弘

芋の露

きょうの自選句。芋の露笑ひ転げてをりにけり 益弘

カンナ

きょうの自選句。カンナなほ燃えて愛憎紙一重 益弘

ちちろ・蟋蟀

きょうの自選句。朱雀玄武青竜白虎ちちろむし 益弘

長き夜

きょうの自選句。長き夜の猫のお相手致しけり 益弘

黄落

きょうの自選句。黄落や日蔭のたれもゐぬベンチ 益弘

時代祭

きょうの自選句。時代祭ぴーひょりひょーと始まれり 益弘

茸狩

きょうの自選句。うかうかと日の昏れかゝる茸狩 益弘

秋の川

きょうの自選句。玲瓏たる石を拾ひし秋の川 益弘

紅葉

きょうの自選句。死火山にしてめくるめく紅葉かな 益弘

芋煮会

きょうの自選句。上野発芋煮会へと帰る人 益弘

菊日和

きょうの自選句。ねもごろに洗ふ筆硯菊日和 益弘

秋思

きょうの自選句。白雲の美しすぎる秋思かな 益弘

秋風

きょうの自選句。秋風や供華ある仏なき仏 益弘

露の世

きょうの自選句。露の世に開き直りし胡坐かな 益弘

鵙の贄

きょうの自選句。くちなはの乾びて哄ふ鵙の贄 益弘

月光

きょうの自選句。月光のダム月光の一縷吐く 益弘

案山子

きょうの自選句。なんとなくイエスをおもふ案山子かな 益弘

鉦叩

きょうの自選句。頭の中の一点の醒む鉦叩 益弘

蝗・いなご

きょうの自選句。跳ねて跳ねて蝗この字より知らず 益弘

秋の蝶

きょうの自選句。秋の蝶ひとつ路傍に供華あまた 益弘

花野風

きょうの自選句。花野風ここは鈍行のみとまる 益弘

菊の花

きょうの自選句。死顔の寝顔にまがふ菊の花 益弘

松茸

きょうの自選句。たまさかに京の松茸づくしかな 益弘

鳳仙花

きょうの自選句。鳳仙花一所懸命爆ぜにけり 益弘

鈴虫

きょうの自選句。京町家奥に鈴虫鳴かせをり 益弘

蓑虫・鬼の子

きょうの自選句。蓑虫揺れてあれも夢これも夢 益弘