益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

釣瓶落し

自選句。 釣瓶落し宇治の早瀬に見了んぬ 益弘

柿 甘柿 渋柿 富有柿 木守柿 熟柿

自選句。 日本の色となりたる熟柿かな 益弘

梨 洋梨 ラフランス

自選句。 殺されしスパイの好きしラフランス 益弘

秋の暮

自選句。 かげぼふしより歩き出す秋の暮 益弘

夜長 長き夜

自選句。 我無言妻多言なる夜長酒 益弘

秋の昼寝

自選句。 古民家の秋の昼寝によき柱 益弘

雁 初雁 雁の声 雁渡る

自選句。 二階には二階の風や雁のこゑ 益弘

火恋し

自選句。 おもひだす女の体温火恋し 益弘

竹の春 竹春

自選句。 のゝ宮に恋の絵馬殖ゆ竹の春 益弘

夜寒 宵寒 夜寒し

自選句。 猫抱きて猫につぶやく夜寒かな 益弘

夜業 夜なべ

自選句。 時計とふ非情の機械夜業人 益弘

霧 朝霧 夕霧 夜霧 山霧 川霧 狭霧 霧襖 濃霧 霧雨 霧笛

自選句。 何もたらすや霧のなか霧うごき 益弘

夜学 夜学子 夜学生

自選句。 指にまた包帯をして夜学生 益弘

菊 菊の花 白菊 黄菊 大菊 小菊 懸崖菊 厚物咲 菊の宿 菊日和

自選句。 鳥は翔び人は歩みて菊日和 益弘

菊 菊の花 白菊 黄菊 大菊 小菊 懸崖菊 厚物咲 菊の宿 菊日和

自選句。 仏壇の塵を許さず菊かをる 益弘

薄紅葉

自選句。 ひとづまと訪ぬる嵯峨の薄紅葉 益弘

冷ゆ

自選句。 脳のこと考ふる脳冷ゆるなり 益弘

曼珠沙華 彼岸花 死人花 地獄花 狐花 捨子花 幽霊花

自選句。 愛憎のあはひを揺れて曼珠沙華 益弘

竹の春 竹春

自選句。 のゝ宮に恋の絵馬殖ゆ竹の春 益弘

松茸

自選句。 久闊の京の松茸づくしかな 益弘

虫 虫の声 虫の音 虫すだく 虫時雨 虫の闇 昼の虫 残る虫 すがれ虫 虫籠 虫売

自選句。 ぬばたまの耳塚といふ虫の闇 益弘

秋の蝶 秋蝶

自選句。 秋蝶の何かせはしき花背かな 益弘

相撲 角力 宮相撲 草相撲 秋場所 九月場所

自選句。 亡くなりて本名を知るすまふとり 益弘

夜長 長き夜

自選句。 長き夜の猫のお相手致しけり 益弘

新涼 秋涼し 秋涼 初涼 涼新た

自選句。 調律の済みたるピアノ涼新た 益弘

凶作 不作 凶年

自選句。 凶年をきれいな蝶の舞ふことよ 益弘

天高し 空高し 秋高し 高き空

自選句。 まぼろしの竜よ麒麟よ天高き 益弘

秋闌ける 秋たけなは

自選句。 松花堂弁当に秋闌けにけり 益弘

流星 流れ星 走り星 夜這星 星流る 星飛ぶ 星走る 

自選句。 流れ星たかが人生ではないか 益弘

天の川 銀河 銀漢 雲漢 天漢 河漢 星河

自選句。 鳥になる恐竜の眸に昼銀河 益弘