自選句。 釣瓶落し宇治の早瀬に見了んぬ 益弘
自選句。 日本の色となりたる熟柿かな 益弘
自選句。 殺されしスパイの好きしラフランス 益弘
自選句。 かげぼふしより歩き出す秋の暮 益弘
自選句。 我無言妻多言なる夜長酒 益弘
自選句。 古民家の秋の昼寝によき柱 益弘
自選句。 二階には二階の風や雁のこゑ 益弘
自選句。 おもひだす女の体温火恋し 益弘
自選句。 のゝ宮に恋の絵馬殖ゆ竹の春 益弘
自選句。 猫抱きて猫につぶやく夜寒かな 益弘
自選句。 時計とふ非情の機械夜業人 益弘
自選句。 何もたらすや霧のなか霧うごき 益弘
自選句。 指にまた包帯をして夜学生 益弘
自選句。 鳥は翔び人は歩みて菊日和 益弘
自選句。 仏壇の塵を許さず菊かをる 益弘
自選句。 ひとづまと訪ぬる嵯峨の薄紅葉 益弘
自選句。 脳のこと考ふる脳冷ゆるなり 益弘
自選句。 愛憎のあはひを揺れて曼珠沙華 益弘
自選句。 のゝ宮に恋の絵馬殖ゆ竹の春 益弘
自選句。 久闊の京の松茸づくしかな 益弘
自選句。 ぬばたまの耳塚といふ虫の闇 益弘
自選句。 秋蝶の何かせはしき花背かな 益弘
自選句。 亡くなりて本名を知るすまふとり 益弘
自選句。 長き夜の猫のお相手致しけり 益弘
自選句。 調律の済みたるピアノ涼新た 益弘
自選句。 凶年をきれいな蝶の舞ふことよ 益弘
自選句。 まぼろしの竜よ麒麟よ天高き 益弘
自選句。 松花堂弁当に秋闌けにけり 益弘
自選句。 流れ星たかが人生ではないか 益弘
自選句。 鳥になる恐竜の眸に昼銀河 益弘