益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

古語

 ウヰスキー一口ふゝむ蒲団かな  益弘

新作ファイルに先日アップした自作だが、
読者から質問を頂いたのでここでお答えしておく。

アップした当初は「ふふむ」としていたのだが
それは、「ふくむ」の入力ミスではないのか?
というのが、質問の趣旨である。

「ふくむ」は古くは「ふふむ」とも言うのである。
私はこの句においては「ふふむ」の方が
的確に句のムードを伝え得ると考えたのである。
上の質問は数名の方から頂いた。
打ちミスと誤解されるのは心外なので、
敢えて「ふゝむ」と表記した次第である。

こうした語は他にも沢山ある。
「浮かぶ」は「浮かむ」とも言う。
「暫し」「暫く」は「しまし」「しまらく」とも読む。
「歩く」は「ありく」とも読む。
「せせらぐ」は「せせらく」とも
「さざなみ」は「ささなみ」とも。
・・・まだまだあるが、きりが無いので
この辺にしておく。
概して古語は、その読み方においても
柔かくより豊かな語感を醸し出していると思う。

母の月命日。
暖か過ぎる。
法要に来られた御上人も
「師走という気が未だにしません。」と
仰っていた。

 石仏と化す日向ぼこ永ければ  鷹羽狩行