益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

時の過ぎゆき

時雨空。幾度となく晴れてはしぐれる、
京都の冬定番の空模様である。
このところの冷え込みで紅葉も一気に進んだ。
わが家の楓紅葉もほぼ紅一色となった。
早いものである、今年も残すところひと月余である。

時の過ぎゆきをかくも早く感ずるのは
年齢のせいなのか?
それとも今年が余りにも多事多難な毎日であったせいか?
私的には父の入院と急逝で
正月から夏の終りまでを忙殺された。
また大きな事件や事故が内外で頻発した年であったようにも思う。
特に九月の米国における同時テロ以降は
時の過ぎゆきが一段と急になったような気がする。
これは、私だけの感懐なのか?
或いは、読者諸氏にあっても同様なのか?

皆さん、少し気が早いのですが
今年は一年が
とても早く、短かったように感じませんでしたか?

 散るのみの紅葉となりぬ嵐山  日野草城