益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

今こそ冷静さを

開示された拉致被害者の情報が波紋を広げている。
被害者の家族が憤り、悲しむのは当然だが、
メディアや議員までもが同じように
冷静さを失しているのは異常である。

私の現時点での所感を以下に記す。

・拉致情報の開示を求めたのは我々日本側に他ならない。
「信じたくない、信じられない」という家族の気持ちはよく解る。
 しかし、我々国民はその情報がいかに悲しく残酷なものであっても
 先ずは受け留めねばならない。さもなければ、何事も前進しない。
・国交正常化交渉再開に
 小泉首相が積極的姿勢であったからこそ情報は開示された。
・よって拉致情報の更なる開示を求めるためにも
 正常化交渉に日本は積極的であり続けねばならない。
・交渉への姿勢が後退すれば、
 今後いかなる情報も開示されない可能性が大きい。
・交渉からの後退は、
 なお数十人はいるという「拉致被害者」の生存や立場を
 危うくすることでもある。
金正日総書記が拉致事件を認めただけでも
 小泉訪朝が大きな成果を上げたことは今や歴然とした。
・交渉自体に疑念をはさみ、政府に慎重さばかりを求める、
 メディアの論調は今なお残る「拉致被害者」の生存や立場を
 危うくすることに他ならない。
拉致問題だけを専ら追及するやり方は
 結局、北朝鮮を再び頑なにするだけである。
・交渉全体の進展を図ること以外には
拉致被害者」の更なる情報も救出も期待できないであろう。
・・・以上である。

拉致被害者」の家族に冷静さを求めるのは
酷というものだが、
メディアや国会議員までもが同じように
激嵩しているのはいただけない。
こんな時こそ冷静に
国民の安全と国益を熟慮すべきではないのだろうか?

 眠るまで月をいくつも見て眠る  千代田葛彦