益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

最近の新作ファイル

お気づきの方もおられようが
最近の新作ファイルは主に
四字熟語を題材に詠んでいる。

 千差あり万別あれど皆日焼子
 呑舟(どんしゅう)の魚ともなれぬビールかな
 夕焼の裏へと不帰の客になり
 ビール干す手練手管と知りゐつつ
 蛍見て一朝一夕の逢瀬なる
 粗衣粗食すゞしき日々のありしこと
 一汁と一菜に朝涼しけれ
 夕焼の一部始終を見て別る
 甲論に乙駁激し冷し酒
 涼しさの馬耳東風でありにけり
 半死半生の火虫を殺し遣る
 炎天や徒手空拳を翳(かざ)しつつ

こういう作句法は、他の俳句作者はどうか知らないが
私にとっては非常に楽なのである。
その気になれば際限なく作れる。
自らが表現すべき所を
四字熟語を借りてきて澄ましているのであるから・・・。
こういう作句法ははっきり言って邪道だと私は思っている。
時に知的な言葉遊びとして興ずるのは良いが
あまり真似をされない方が良いと思う。

さて、きょうは五節句の一つ、七夕。
あいにくの梅雨空で星は全く見えないが
古き良き伝説を忘れることなく
思い起こすこともまた大切なことだと思う。

 百物語に学校の七不思議  田畑益弘