「反対野党」の域
衆議院が解散し、選挙戦が事実上スタートした。
自民党か民主党かの二者択一の嘗てない選挙になるとのことだが、
これをもって
日本の二大政党制の始まりと位置づけるのは
時期尚早であろう。
民主党の政権担当能力は未知数だし
国民の意識も成熟したとは思えない。
英国の真似をして
「マニフェスト」なる言葉が流行っているが
見たところ
「反対野党の戯言、無責任政党の空約束」の域を出ていないようだ。
「マニフェスト」は元々、
成熟した二大政党制の下でのみ有効なのである。
志向する国家像、国家戦略が
二大政党間で共有され、政策面の差異も少なく
政権交代が円滑に且つ安定的になされる状況下になければ
意味のない概念なのである。
つまり、民主党が
「政権をとったらイラクへの自衛隊派遣を撤回する」
などと言っているうちは駄目ということなのだ。
それは「反対野党」の域を出ない対応だからである。
この国において
二大政党制はまだ準備段階にすら至ってはいないと言うべきだ。
民主党と自由党の合併は
「二つの反対野党が一つになった」以上の意味をもってはいない。
それは日本国民にとって
相も変らぬ、大いなる不幸と言うべきであろう。
天高く龍を麒麟を蔵しけり 田畑益弘