益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

「反対野党」の域

衆議院が解散し、選挙戦が事実上スタートした。
自民党民主党かの二者択一の嘗てない選挙になるとのことだが、
これをもって
日本の二大政党制の始まりと位置づけるのは
時期尚早であろう。
民主党政権担当能力は未知数だし
国民の意識も成熟したとは思えない。
英国の真似をして
マニフェスト」なる言葉が流行っているが
見たところ
「反対野党の戯言、無責任政党の空約束」の域を出ていないようだ。

マニフェスト」は元々、
成熟した二大政党制の下でのみ有効なのである。
志向する国家像、国家戦略が
二大政党間で共有され、政策面の差異も少なく
政権交代が円滑に且つ安定的になされる状況下になければ
意味のない概念なのである。
つまり、民主党
「政権をとったらイラクへの自衛隊派遣を撤回する」
などと言っているうちは駄目ということなのだ。
それは「反対野党」の域を出ない対応だからである。

この国において
二大政党制はまだ準備段階にすら至ってはいないと言うべきだ。
民主党自由党の合併は
「二つの反対野党が一つになった」以上の意味をもってはいない。
それは日本国民にとって
相も変らぬ、大いなる不幸と言うべきであろう。

 天高く龍を麒麟を蔵しけり  田畑益弘