益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

京町家

きょうの自選句。

蕗を煮て町家の奥の暗きかな  田畑益弘

※「鰻の寝床」と言われる京町家、間口が狭く奥が深い。
この句はそんな京都の町家の構造を知っていないと
理解できないかも知れない。
また、現代のように玄関や窓を閉め切った暮しでは
この句自体、成立しないとも言えそうだ。
蕗を煮る匂いは通りに漏れてこず、
町家の奥を窺うこともできないのであるから。
古き良き時代の京の町家筋、ありふれた情景。