益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

母の命日、そして大文字

母の命日。
母が膵臓癌で急逝して丁度三年になる。
あっという間の三年だった。
悲しみは癒えた。しかし寂しさは消えぬものである。
私にしてそうなのだから、老いたる父には尚更であろうと思う。
母の死後、父は猫を溺愛するようになった。
時に異常と思えるほどである。
ミーとチコ、この二匹の捨て仔猫が幸運にも我が家に拾われたのは
妙な言い方だが、そんな父の寂しさの御蔭である。
私がパソコンにのめり込み、昨年ホームページを開設したのも
母の死以後の寂しさに大きく起因していると
我ながら自己を分析している。
更に言えば、今こうして日記を書きWEB上で公開しているのも
母の急逝と決して無縁ではないような気がする。

現在、午後七時五十分。
まもなく母の永眠した時刻である。
そして五山の送り火
大文字の「大」に火が点される時である。

 逢うてすぐ別るることも大文字  下村非文