益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

老いと情報と

私は日本経済新聞を愛読している。
企業情報は独自取材であろうから、それだけでも価値がある。
一企業の情報から社会や時代が透けて見える。
私は新聞記事から想像を羽ばたかせるのが好きだ。
そうして、私の朝が始まるのだ。
老い父は何十年来、地元紙・京都新聞を愛読している。
私も父の次に読むことにしている。
世界へと想像力を働かせた後で
地元の細かい事実に目を凝らす。
私は今のところ、活字から得る情報はこれで十分だと思っている。

老い父が今日からデイリースポーツを月決めで購読することにした。
競馬やスポーツに関しては、いつの間にか私より詳しい父である。
老い父・七十四歳、すこぶる元気である。
人間死ぬまで情報に貪欲であらねば、と
父を見ながらつくづく思うのである。

 恐竜の卵まで行こ秋日和  坪内稔典