益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

明日は逢瀬

明日は久々の逢瀬。
どこへ行こうか?と悩む。
と書いたが実はなんとも思っていない。
行く先は彼女が考える。これまでもこれからもそうである。
私は言うとおりにするだけ、お金を出すだけである。
昔から、私はそうだった。
十代の頃、初めてつきあった女性に
「デートコースくらい考えてきて・・」と言われたことがあったが、
それ以来、そういうことを考えるのは一切やめた。
はっきり言ってそんなことはどうでもいいし、面倒くさいことだからだ。
私は私である。
私は彼女の眼前にいる私以外の何ものでもないのである。
歓心を買うために
デートコース、デートスポットなどを検討する、
自分自身が嫌である。
そういう私を気に入る女性であればそれで良い。
私は昔からずっとそう思っているのだ。

幸い、これまで私は面倒見の良い、忍耐強い女性ばかりに恵まれてきた。
誰もが、私の「そんなことどうでもいい、面倒くさい」
を愛してくれた。
(ま、私がそういう女性を選んできたのだけれど・・。)
今の彼女は教員。
しっかりとデートコースを考えてきてくれる人である。
楽だなぁ。人間関係は、特に男と女は
楽なのが一番、良いんです。

 一本の冬木に待たれゐると思へ  長谷川櫂