益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

遅い紅葉

今では、超有名人となった山口良治さんのことをテレビでやっている。
あの泣き虫先生である。
京都市立伏見工業高等学校ラグビー部を全国一にしたあの男である。
泣ける。淡々とした事実のナレーションなのになぜか泣けてくる。
ここに教育の原点があるような気がする。
教育とは「先生対生徒」ではなく「人間対人間」のぶつかり合いなのだと
しみじみ思う。
しかし、これは昭和五十年代初頭の話だ。
今のワルはもっと変質しているのではないか?と思う。
われわれは、今日の少年をどう導けば良いのか?
泣き虫先生とその教え子たちの感動物語に酔いながら
昨今の少年たちに別な恐ろしさを感じざるを得ない。

夕刻から急に寒くなる。
しかし、これでも平年並みだろう。
紅葉が遅れている。
勤労感謝の日に彼女と逢うが、
お目当ての美しい紅葉は御預けのようだ。

 紅葉の中杉は言ひたき青をもつ  森 澄雄