益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

阪神忌

古くて新しいのが俳句である。
阪神・淡路大震災も多くの俳人に詠まれるようになった。
昨日の日記に添えさせて頂いた一句も
或る歳時記に取り上げられていたものである。
被災者自身の率直な独白にハッとさせられる。
歴史に残すべき秀句であろう。
既に「阪神大震災」という新たな季題を
敢えて立項している歳時記もある。
己れが生きている、まさにその時代と
真向いつつ詠むことを怠らない限り
俳句は新たな生命力を獲得し続けるであろう。

角川春樹編「現代俳句歳時記・冬」より

 地震あと春待つ顔を上げにけり  桂 信子
 冬芽持つ朴は地震にも倒れざる  森田 峠
 言の葉の失せし寒さや阪神忌   手塚美佐
 悴みて地震の夜明を待つばかり  稲畑汀子