益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

喋ること

昨日の日記で、術後の父が喋るのは良くないはず、などと
書いたが、看護婦に喋ることが何よりのリハビリと教えられた。
麻酔が完全に醒めるまでは誰しも声が出ない。
まして腹部に傷があるのだから、ますます声は出ない。
だからこそ喋るのが大事なのだと言う。

眼からウロコだ。
将棋で「ヘボの考え休むに似たり」と云う。
まことに、「素人考え怪我の元」だ。
「腫れ物扱い」してばかりでは駄目なのだ。
よって、今日は父と大いに語る。
実際に昨日より声もしっかりしている。
手術前と違って、術後の父の
日に日に回復する姿は希望に満ち満ちていて頼もしい。
私の心にも少しゆとりが芽生えてきた。

 春の夢あまたの橋を渡るかな  桂 信子