益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

春雪、淡雪、綿雪

目覚めれば雪景色。
まさかこんなに積っているとは思わなかった。
春の大雪である。

 傘ひらきたる青年に春の雪  黒田杏子

春の雪はまた淡雪とも云う。
特別に美しい季語である。
私も好きでよく使う。
降るそばから消えていってしまう、
儚い春雪の風情を云うが
昨日来の雪はそうは呼べない。

 淡雪やかりそめにさす女傘  日野草城

こんな艶っぽい雪なら
時には降って欲しいくらいなのだが
自転車通勤の私には大変な今朝の大雪だった。

さて、一部報道では
今日にも森総理は辞意を表明するとのことだった。
しかし、何事もなし。
相変わらずムードばかりを報道するのが
この国のメディアである。
誰が「大本営」なのかは知らないが
昔々から大して進歩していないメディアの現状を
見せつけられる思いだ。

 綿雪やしづかに時間舞ひはじむ  森 澄雄