退院を待つ
ひさびさに父を見舞う。
元気である。
既に普通の食事を摂っている。
缶コーヒーもOKだそうで
病院地階の売店で買ってきてよく飲むそうだ。
医師も糖分を摂ることを勧めているようで、
甘すぎる缶飲料も父には栄養の良い供給源なのだ。
ここまで来れば大丈夫、退院を待つばかりである。
先月、受験に来ていた甥も
京都の某私学に入学し間もなくこちらにやって来る。
父には退院とともに二重の喜びになりそうだ。
胃がないのだから退院後の生活も容易ではないが
今更悔やんでも仕方のないことである。
老いてなお果敢に生きんとする父を見守っていきたい。
終日、雨催いの鬱陶しい休日。
見舞いの後、旧知と河原町で会う。
食事をしながら思い出話に花が咲いた。
囀や転ばぬ先の杖は持たず 鈴木真砂女