八月が過ぎ行こうとしている。
小泉首相の「靖国参拝」を巡って
特別かまびすしいひと月だった。
国論を二分する、喧喧諤諤の議論を巻き起こした、
小泉首相には功も罪もあると思う。
先の大戦の総括、それは
我々日本人が置き去りにしてきた一大事だ。
我々がまさに自らのこととして真向はねばならない問題だ。
首相の言動は我々が有耶無耶にしてきた傷口をあからさまにし
その大きさと深さを知らしめたと言える。
2001年の八月が過ぎ行こうとしている。
やがて傷口には瘡蓋が貼り
一切が嘘であったかのように我々は忘れてゆく。
・・・そうして五十六年が経過したのだ。
ひとり膝を抱けば秋風また秋風 山口誓子