益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

明日で七年

阪神大震災より明日で七年、早いものである。
震災のダメージに加えて長引く不況。
被災者、そして地場産業とその従業員の苦悩は
我々の想像をはるかに超えたものであろう。
同じ震災列島に住むものとして
大災害後の普遍的保障措置の整備を
行政に求めていくべきであろうと思う。
「可哀想だ」と被災者を憐れみ、
「風化させてはならない」と毎度のお題目を唱えるのは
傍観者の単なる自己満足でしかない。
「国家安全保障」を「人間の安全保障」と言い換えるのならば
テロ対策とともに
先ず大災害時の復興システムの構築を急ぐべきではないのだろうか。

天災に遭遇するのは大いなる不運である。
しかし、その不運ひとつのせいで
人が不幸のどん底に落ちねばならないとしたら、
それは余りにも残酷な社会であると言わねばならないであろう。
「国家は国民のためにある」という新たな命題の真偽は
この阪神忌一月十七日への対応に掛かっているように思われる。

 逆縁に老の無口や枇杷の花  原 綾女