益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

七年!

阪神大震災より七年。
今でもあの朝の凄まじい「揺れ」は鮮明に記憶している。
しかし我が家に被害はなかった。
正直言って「こけし」が一つ倒れただけだった。
以後、テレビで「見物」するだけの震災になった。
神戸は廃墟・焼野原、しかし
大阪では京都では何一つ変らぬ日常があり、
暗黒の神戸を尻目に、夜はいつものように
美しいネオンが煌めいていた、
そして連日、被災者の不幸をテレビで「見物」していたのだった、
・・・そんな現代の天災。

我々はその恐るべき「天災の現代性」をも語り継ぐべきであろう。

 寒暁や生きてゐし声身を出づる  桂 信子