感度良好?
明日は節分、明後日は立春である。早いものだ。
春未だしき寒さであるが、
日脚の伸び、陽光の眩さは既に春のものである。
以前にも書いたが、われわれ現代人はいつしかに
「気温」だけで季節を判断するようになってしまった。
それが、もっとも簡単に定量化できるからなのだろう。
しかし、今書いた日の長さや強さ、動植物の消長、
月や星の風情、といった事象の微妙な変化にこそ
季節の変わり目を感受したいと思うのである。
ただ漫然と、寒い暑いを言うのではなく
全身の感覚を、感受性を、総動員して
日々、季節を「味わい」たいと思うのだ。
短歌や俳句といった伝統詩は
その「季節を味わう」ことによって成り立ってきた。
疲れた現代人には酷な注文かもしれないが
せめて短歌俳句の作者は感覚を研ぎ澄まして
季節を感得せねばと思う。
特に冬から春への変わり目は
繊細でいて且つ劇的である。
皆さんの感度は良好であろうか?
ひそかなる鹿の咀嚼も春隣 丸山哲郎