益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

ナルの思い出・?

四月に大往生した愛猫ナルのことを
最近たびたび思い出す。

しなやかな身のこなし。
毅然とした王者の振る舞い。
猫にしては利口過ぎる洞察力。
・・・・・・・
ナルの全てが、大きな悲哀とともに甦ってくる。

東京から帰郷して既に十年。
それは、捨てられていたナルを飼い始め
生活をともにし、その死を見届けた十年でもあった。
母の死、父の死とともに
ナルの死は今も私の心に
忘れ得ぬ深い疵を遺しているのである。

明日から八月。
一年で最も暑いのは実はこれからである。
念力をかけて乗り切らねば・・・。

 走馬灯ひとりの刻が廻り出す  清水節子