益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

縁(えにし)

縁というものをこのごろ
つくづくと思うことがある。
縁が切れてしまった、所詮薄い縁だったと
諦め、忘れていた人が十五年ぶりに突然メールをくれたら・・。
それはやはり濃い縁であったということになるだろう。
インターネットという素晴らしいツールが
切れた縁を繋いでくれたと言うべきかも知れない。

いまだに探しあぐねている「切れた縁」がある。
知っている限りの番号に電話しても
「現在使われておりません。」と言うばかり。
多分、私の大いなる未練に違いない。
しかし、私は死ぬまでこのHPで待っているつもりだ。
やむを得ず切れてしまった縁、しかし心の中では
今もしっかりと繋がっている「濃い縁」を、である。

正直に言うが、
私がホームページを開設した最大の理由は
かの人を永遠に待つためである。
かの人が帰ってこれる唯一の場所だと信じているからである。

先程も無言電話があった。
某駅の公衆電話と知れた。
無言で繋がっている、
余りにも哀しい「濃い縁」なのである。

 うすうすとしかもさだかに天の川  清崎敏郎