益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

ぬるま湯にぶち込まれる氷水

今日も夏日。
今年の秋は足早、などと以前書いたが
どうも怪しくなってきた。
一雨ごとに涼しくなるわけでもなく
晴れればまだ半袖で良いくらいなのだから。
暦の上の晩秋(十月)も
ここまで体感とかけ離れると
作句にも影響が出てくる。
「朝寒」「夜寒」「露寒」「冷まじ」「秋深む」等などは
まだ時期尚早の感がある。
しかし、今使わないと使う時がない、とも言える季語なのだ。
年々に、実感と季語とのズレが
顕わになって来ている。
元々、陰暦と陽暦でズレがあるのは
仕方ないことなのだが
所与であった筈の、日本を取り巻く気象環境自体が
大きく変容してきているのである。
そして、その懸隔はもう限界に近い。
まことに困ったことである。

さて、政府調査団が持ち帰った、
拉致被害者情報」はまたまた衝撃的であった。
国民は悲憤慷慨の只中にあるようだ。

ぬるま湯にぶち込まれる氷水・・・。

 ランプ売るひとつランプを霧にともし  安住 敦