大晦日、
ひとりパソコンに向うようになって
丸五年になる。
母が健在だった頃は
「紅白」を見て
平均的日本人の除夜だったものである。
母が逝ってから「団欒」というものが
完全に崩壊したと言える。
母の死後、
父と二人、年越蕎麦を食べ
父はいつものように早寝、
私はPCの前に、という大晦日だった。
・・・今はその父ももういない。
PCに向っているから
「紅白」は見ていないが
「紅白」は背後でついている。
二匹の猫たちは
そのテレビの上で大人しく眠っている。
・・・深海のように静かな除夜。
在りし日の父よ枯野をゆく汽車よ 田畑益弘