益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

世界一豊かな国の「大停電」

「その昔、大停電があり人々は暗闇で
することもなく・・・(中略)・・・やがて、
可愛い赤ん坊が沢山生まれたとさ。」という
微笑ましい?伝説があるが、
今回はどうもそうはならないようである。

米国、カナダで史上最大の「大停電」とのこと。
電気に何もかも頼っている、
現代都市そして我々の生活の脆弱性
目の当たりにする思いである。
しかし、テロではないようだし
映像で見る限り市民は冷静に行動しているようだ。
不安と困惑の中にも苦笑とジョークを忘れないのは
世界一豊かな国の民ならでは、の余裕を感じさせる。
「やがて、可愛い赤ん坊が沢山生まれたとさ」
とは、ならないであろうけれど。

さて、日本。
オホーツク高気圧と太平洋高気圧が
またぞろ「前線の綱引き」を始めたようなこの頃、
まるで「戻り梅雨」のようである。
「それはそれは短く寒い夏だったとさ」と
語り継がれることであろう。

 蝉の屍をすげなく掃きて母の忌なり  田畑益弘