益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

「運命の糸」

「運命の赤い糸」などと云う。
赤いかどうかは知らないが、
そのいわゆる「運命の糸」というようなものを感じた人は多かろう。
それは、「縁」とも云って良い。
偶然のようでもあり、必然のようでもあることがある。
いや、そもそも
偶然とは必然のことではないのかと思えてしまうようなことだ。
しかし、
「運命の糸」は我々には決して予見することはできないものだ。
それが、これまでの世界であり人生であったのだ。

インターネット。
それは、決して見える筈のなかった、
そんな「運命の糸」を
少しづつ「見えるもの」にしてくれているシステムと
私は考えている。
見えなかったものが見えるようになるのは
素晴らしく且つ恐ろしいことである。
縁には悪しき縁、良き縁があるのであるから・・・。

「俳句添削 朱筆」に先日、
フランスの読者から御投稿をいただいた。
遠く離れた異国の人との、それもまた「縁」である。
インターネットは世界中の誰が見ていてもおかしくない世界だ。
全ての善人と全ての悪人が・・・つまり
全ての人間がネットによってつながっているのである。
御投稿して下さったその方が
ネット社会の住人だったからこそ
決して見える筈のなかった「運命の糸」が見えたわけである。

未来社会は、また人間の行動様式は
インターネットによって
いずれ画然と変容するということである。

 行く年のうごく舗道を歩いてゐる  田畑益弘