益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

春の生動

程よい雨を「お湿り」というが、
今日の雨はまさにその「お湿り」。
これからも冴え返る日はあろうが、
昨日に続き春遠からじ、を実感させる暖かな一日だった。

ようやく「寒」が明ける。
節分である。そして「立春」ということになる。
暦通りに暖かくなり、春めく訳ではないが、
感受性を全開にして季節を見てみよう。
季感とは気温だけを言うのではない、
日の光、空の色、雲の姿、風の触感にこそ
その移ろいは表れるのである。
動物たちは、植物たちは既に
その春の生動を準備しているのである。

 節分の豆うちあたる山河かな  田畑益弘