益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

猫の恋

昨日につづき麗らかな春日和。
日中は窓を全開にして過ごせるほどだった。
暖かな春風にのって
近所の猫たちの喧嘩する声がしきりに聞こえてくる。
俳句でいう「猫の恋」「恋の猫」である。
雌を奪い合って雄同士が争っている訳だ。
我が家のチコは去勢猫。
全開にした窓から、キョトンとして
その猫たちの争いを眺めている。
「声張り上げて、何やってんだろうなぁ・・・?」といった風情。

猫を飼う上で去勢手術を施すのは常識だと思うが
ぼんやりと「猫の恋」を眺めているチコを見ると
ふっともの哀しくなってしまうのだった。

 恋猫は鳴くべし穴は覗くべし  田畑益弘