益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

鞍馬越え

きょうの自選句。

転びしを鞍馬の蟻に見られけり  田畑益弘

※三年前の夏、つきあっていた女性と
「鞍馬越え」をしたことがある。「鞍馬越え」は私の造語だが、
あの鞍馬山の「木の根道」を通って貴船に下りる行程は「鞍馬越え」と
呼ぶべきであろう。
もともと鞍馬山中腹の鞍馬神社に詣でるのが目的だった。
私は革靴、彼女はサンダル履きである。
「熊が出るよ」「マムシがいるよ」と私は散々抵抗したのだが、
山大好きの彼女は聞く耳を持っていなかった、嗚呼。

・・・なんとか貴船に降り立った時、二人はもう限界
脚はガクガクだった。
アルプスを踏破した彼女も流石に参っていた。
それ、見たことか!
私は鞍馬の蟻とともに笑っていたのであった?