益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

春を待つ

父の病室は七階にある。
大都市では七階などごく普通の高さだが
京都市、特にその近傍では高層である。
病室東側に大きな窓があり、非常に見晴らしが良い。
左手に比叡山のほぼ全景を望むことができる。
日の出が美しかった・・・今日見舞いにいくと
開口一番、そう云った。
今日は久々に晴れた夜明けだったのだ。
カメラを持ってきてくれ、と云う。
昔からカメラの好きな父である。
「愛しの猫たち」の
気ままな生活篇1.2.3は父の撮影したものだ。
明日必ず届けると約束した。

手術の日は未定である。
暫くは検査の日々が続くそうだ。

 時ものを解決するや春を待つ  高浜虚子