益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

父の渇望

新作俳句を書けない日々が続いている。
休暇をとっているので
物理的時間は寧ろ多いくらいだ。
しかし、生活が一変したことで
創作へと気分が向いて行かないのである。
現在は、父への見舞いが生活の中心である。
次に猫のこと、父の留守を守ること、
そして初めて自分のことを考える。
早くそうした新しい生活のリズムに慣れねばならない。
そしてそのリズムの中に「俳句創作」を組み込まねばならない。
試しに明日は強引に作句してみるつもりだ。
一時間ほど何もかも忘れて‥。

父にカメラを届ける。ついでに書籍、週刊誌、スポーツ新聞も。
テレビと新聞だけではとてつもなく退屈だ、と云う。
やはり、人間に最も必要なのは
潤沢な情報なのだと痛感する。
それも、窮地に立てば立つほどであると。

 日脚伸ぶ電車の中を人歩き  神蔵 器