益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

弥生ではない!

さて三月。早速、「弥生」という月の異称を
新聞やテレビで見聞きするが、これは明らかな誤用。
「弥生」はあくまでも「陰暦三月」の異称。
寧ろ「陽暦四月」のことと思うべきである。
現在は未だ「如月」なのだ。
「きさらぎ」は「衣更着」のことと云う。
寒いのも当たり前である。
歳時記の立項の順序としては
「三月」「如月」「四月」「弥生」という並びになる。
ここまでが「春」の季語。
「陰暦四月」の異称「卯月」は夏の季語になるわけだ。
賢明な新聞記者、アナウンサー諸氏がこんなことを知らぬ筈がない。
陽暦三月」を「弥生」とした方が簡明だ、ということなのだと思う。
紙幅や時間の厳しい制約の中にマスメディアは存在する。
だからこそ受け手の側が、メディアから情報を受け取る前に
正確な知識を蓄えておくべき時代なのだと思う。
特に「言葉」「日本語」についての知識は最重要である。
明々白々なこととして、
我々は「言葉」「日本語」によって情報を受け取っているのだから。

父への見舞いは明日にした。
父が猫たちの様子を妙に気にして
今日は早く帰ってやれ、と電話してきたからだ。
猫たちに気を回す余裕が出てきたのだと思う。

 三月の風は移り気花売女  草間時彦