益弘 この一句

俳人 田畑益弘のきょうの「この一句」

田畑益弘きょうの自選句「益弘 この一句」

花火のように・・・

何が起こるかわからないものである。
明石の花火大会での歩道橋事故。
テレビや新聞記事でその状況を想像するだけでも慄然とする。
多くの幼い命が喪われたことに暗然とする。
原因と責任の追及が始まっているが
特定はなかなか難しいと思われる。
人は群れたがるものだし
人が群れている状態自体が危険を孕んでいるのだから。
例えば明日、朝のラッシュ時に山手線が
事故ったらどんなことになるだろうか?
多くの犠牲者が出たあとで
JRが悪い、時差出勤をさせない企業が悪い、
などと言っても仕方のないことであろう。
事故には必ず教訓がある。
しかし、われわれは
のど元過ぎれば熱さを忘れてまた生きてゆくのである。
誰もが、自分だけはそんな目には遭わないだろう、と思いつつ。
貴重な教訓を忘れて
何度も何度も同じ過ちを繰り返しつつ
少しだけ進歩するのがわれわれ人間なのだろう。

せめてあの美しい花火のように
一瞬にして闇に消えていった
幼い命に合掌。

 暗く暑く大群衆と花火待つ  西東三鬼