米国の苦悩
炭疽菌テロが遂にホワイトハウスにまで及んだ。
ブッシュ大統領、そして米国市民の衝撃は
我々の想像をはるかに超えたものであろう。
経済、軍事において卓越した世界唯一の超大国が
一片の郵便物に嘲弄されているのである。
この皮肉、なんというブラックユーモアであろうか。
ICBMでもTMDでも如何ともし難い事態である。
米国の威信は再び傷つけられた、と言っていい。
国家の安全保障政策は今、国家対国家から
マンツーマンの時代へと変貌してしまったということなのであろう。
アフガンへの米国の空爆は今後も容赦なく続くであろう。
一方、炭疽菌テロはじわじわと確実に米国社会を蝕んでゆく。
我々は今まさに、新しい世紀の新しい戦争を目撃しているのである。
最先進国・米国の苦悩がいずれ日本の苦悩にもなるであろうことを、
我々は今からしっかりと覚悟しておくべきであろう。
晩秋や風樹の中の一ベンチ 大野林火